野生馬を追う | 木村季花子

馬に興味があるわけではないけれど、会社で「あれはいい本だ」と話題になっていたの読んでみた。

野生の馬やシマウマ、ロバ達を追いかけてその暮らしを彼らの生活や行動をじっとみつめた本。

雌馬数頭と一匹の雄からなるハレムを作って暮らす馬、
ハレムを奪う事、一頭でもいいから雌を奪うのに必死の独身雄馬が常にその周りからチャンスを伺っている。

独身の雄馬は数頭でグループを作り、喧嘩の練習をしたり、時にはハレムから雌馬を奪う場合の援護をしたりするような仲間関係を作る。

ハレムを作りあげた雄を見ているとハレムで雌馬と楽しく戯れているばかりではない。

雌馬の匂いを消す為に、常に雌の糞の上に自分の尿をかける事に奔走する。
その匂いを分析すると公衆便所の強烈な消毒剤と同様の成分が検出された。

発情期になるとその尿や糞から発情中だとわかる為、雄の匂い消しの作業は一層大変になる。
一瞬の隙も作る事は出来ない。
尿や糞はその個体情報、力や状態をも伝えられる強い情報を発信する。
それは他の雄への威嚇であり牽制でもある。

何匹も雌がいるハレムを作りあげた雄はその匂い消しにまわるだけで1日が終わってしまう。
雌をたくさん囲う事も決して楽ではない。
疲れた隙、目を離した一瞬の隙に、他の雄に雌をさらわれてしまう。

ハレムを奪われた雄は今まで築いたハレムなどなかったようにただの孤独馬となってしまう。
ハレムの雄が変わり新しくなった場合、その異なる匂いは妊娠中の雌馬の流産を促すそうだ。

そこに動物世界を見ると全てを削ぎ落としたシンプルな構造が見られる。

人間は知恵を使い結婚制を作りあげて法を使ってつながりを守る社会を作り上げた。
本来の動物的な本能に苦しめられているのではないかという行動がしばしみられる。
人も動物だとみると、それを諌める事が正か否かと考えてしまう。
もしかしたら生命力が強く稼ぐ十分な能力を備えた雄に数名が養ってもらってもよいのではないかと考えてしまう。

野生馬を追う―ウマのフィールド・サイエンス

野生馬を追う ウマのフィールド・サイエンス [ 木村李花子 ]