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[海外] 参考書籍 旅とグルメ(海外編)

[本] フランスやパリに暮らす人々のエッセイ

教育は記憶する事ではなく、自分の意見を論理的に発言する事が重要になるフランス。
そんな異文化の中で暮らす人々のエッセイをまとめてます。

ウィークエンド・ア・パリ | 猫沢エミ

日本にいる時は、音楽活動を中心にシンガーソングライターなどとして活躍。
その後、パリへ行こうと思い愛猫とパリへ引っ越す。

パリへ移り住んだ後は、音楽活動に加えて、エッセイなどの本を執筆。
そんな彼女の2002年から2003年の日記がこのウィークエンド・ア・パリ

暮らし始めの頃から語学学校に通う生活などシンプルな普通の日常がつづられている。
多くの人々が抱くファッションと美食の国フランスを意識して書かれた本とはちょっと異なる、
パリの地に足をおろして毎日の生活の中で見えてくるパリを書いている。

「パリに長く住むと個人主義だという事から時々物凄い孤独を感じる。」

旅行者ではなく住人だからこそ見えて感じる事をいろいろと教えてくれる。
日常のちょっとした隙間にパリを体験できる本。

「今日は月曜日なので、授業開始がいつもより1時間遅い10時。月曜の朝はみなだるいから、1時間遅くすればよしという非常に人間的な配慮。」

月曜の朝といえば30分前出社に朝礼とか日本とは逆方向にベクトルが向いてる。

ワークシェアリングしようよ、そんなに頑張っても物あまりの時代、皆競争で疲弊してるよね。

Weekend a Paris(ウィークエンド・ア・パリ)

 

それでも住みたいフランス | 飛幡祐規

1956年年に生まれ、日本の教育に疑問を持ち18歳で渡仏しパリの大学を卒業。

現在フランス人の夫と子供を持ちパリ暮らし30年になる飛幡祐規さんの著書。

古い街並みを大切にし物を消費しないしないフランス社会。
物を売りたい消費させたい広告に抗って抗議イベントなど様々な施策を経て闘ってきたフランス人も、
ここ最近ではその使い捨て大量消費文化に少しずつ取り込まれているのが本を読み進めていくとわかる。

頑固で保守的なフランスも少しずつ変化しつつある。

フランスでは寄せ集めて自分で作る「ブリコラージュ」という言葉がある。
フランス人はブロカントや小物市を回って寄せ集めて自分の手で味わい深い部屋を作り上げる。

パリで人気の日仏カップルが経営するカフェ「マミーガトー」でも、
アンティークで集めた物を上手にディスプレイし素敵な店舗を作り、何時間でも過ごしたくなるカフェとして定評がある。

フランスでは3歳から学校に通う。
義務教育ではないが、この通学は親が子離れをするため、
子供が共同体の中で自立する為の訓練だとも言われている。

フランスのように多民族が入り混じる国では他者との協調性、
他人とのコミュニケーション能力が重要で、
言葉を介して自分の意見を的確に述べコミュニケーションをとる事に重点を置いた教育がなされる。

教育は記憶する事ではなく、自分の意見を論理的に発言する事が重要になる。

教育者はそれぞれ自分達で教材などを決める事が出来るため、
教師に当たりはずれがあり、外れた場合でも転校などは困難であリ数年を棒に振る事になる。

こういう教育法があるのかと知ったのが、「フレネ教育」
現在のフィンランドの教育法はこれ。

フランスで始まった教育手法だが現在では10%程度の浸透と実施という事である。
フレネは戦前・戦後を通じ一貫して、生活と教育を結びつけることを追求した教育者。
大人の作りあえた教育法や考えをおしつける教育ではなく、子供の世界を具現化し主体性を持たせる事に注視した教育手法。

現代教育は競争社会を反映し子供がそれにつきあわされ疲弊しており、
経済環境の悪化、家庭内の問題を抱えて、精神的な病を含め様々な病が引き起こされている。

大人の考えたこうあるべき教育は大人視点の押しつけ、といのはなるほどと思った。
子供には子供の目線があり、やりたい事、集中して取り組んでみたい事が彼等それぞれにある。
それに付き合う事の出来ない大人が画一的な仕組みに抑えこもうとする為の教育が現代教育なのかもしれない。
本当は大人の力量と懐の深さで柔軟に対応してあげられるべきなのかもしれないと考えさせらえた。

それでも住みたいフランス(新潮文庫)【電子書籍】[ 飛幡祐規 ]
それでも住みたいフランス

パリでめしを食う | 川内有緒

ぱっと見タイトルから察すると、パリのレストランやグルメが紹介された本のように思えるが、
この本をパリでご飯を食べる為の参考にと手にすると後悔するかもしれないが、
中を開いて読み始めてみると、がっかり感の上に数倍の面白さと楽しさが覆いかぶさるような本。

パリでめしを食う、は読者がパリでご飯を食べる為のガイド本ではなく、
日本を離れてパリで仕事を見つけて生活している普通の人達のパリに辿り着いた経緯とその暮らしについてである。

著者は気が付いたらパリで暮らすようになっていたような人を中心に取材を進める。

テレビや雑誌に取り上げられるほどの名声は得ていないけれど、
紆余曲折しながら自分の夢がなんだかもわからないままただ着実に前に向かって進む人たちがいる事を教えてくれる。

●3つ星レストランで働く女性シェフ
30歳を境にこれからどうしたらいいか考える瞬間がある。
フィガロ誌でデザイン編集などを担当し充実した生活を送っていた女性が、
趣味の料理をこのまま趣味で終わらせていいのか?と悩み仕事を辞めて渡仏。
幾度も悩み数年を経て彼女の熱意は3つ星レストランシェフへの道へとつながる。

他にも、趣味で続けた絵がきっかけでパリでアーティストとなった女性、
日本ではただの大道芸だと捉えられて終わりそうなヨーヨーをアートとしてつきつめる男性、
恋愛と結婚振り回されて気が付いたら国連で働くようになった女性など。

パリの住人となった彼らは、ただ自然に生きてきただけ、
生き方をずっと模索していてその途中にパリがあっただけという生き方、
私にもそれなら出来るかもと思わせてくれる。

パリでメシを食う。 (幻冬舎文庫)